消化器内科

消化器内科

消化器内科では、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸の消化管に加え、肝臓や胆のう、膵臓など腹部の主要臓器の疾患や異常について幅広く専門的に診療します。
 臓器の数も多いため、おのずと症状も多岐に渡ります。さらには、それぞれががんの罹患者数の多い臓器であることも特徴です。問診の結果や症状に合った診察を行いながら、必要に応じて血液検査や内視鏡検査、腹部エコー検査、CT検査などを実施して診断していく必要があります。
 当院では内視鏡検査に力を入れております。AIを搭載した最新の検査機器を用いて病変の見逃しリスクを可能な限り減らします。さらに、先端部5.8mの非常に細い経鼻用スコープを標準で用いており、これに鎮静剤を使うことでウトウトと眠ったままできる内視鏡検査を受けていただけます。何よりも、技術としての検査の「質」と患者さんの「満足度」を高水準に保つことを心掛けております。
 胃痛・腹痛・便秘・下痢など、よくある消化器症状が続いている場合、実は体からのサインかもしれません。症状改善につなげることはもちろん、小さなサインを見逃さないことも消化器内科の務めです。症状にお悩みの際はお気軽にご相談ください。

消化器の症状と疾患

食道や胃、十二指腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓などに生じる疾患に対して、専門的な診断・検査・治療を実施しています。

下記の症状がある方は
ご相談ください

わずかな症状や健診異常をきっかけに精密検査を受けた結果、重篤な疾患が発見されたというケースもあります。お腹の不調や心配なことがありましたら、どんな些細なお悩みでも気兼ねなくご相談ください。

消化器の主な病気

逆流性食道炎

強い酸性の胃液(胃酸)が胃の内容物と一緒に食道や口腔内へ逆流した結果、胸やけや呑酸(どんさん:苦味やすっぱみを感じたりすること)などの症状を起こす病態です。食道内に胃酸が長期間停滞することで、食道粘膜に炎症が起こります。胸やけ・呑酸が典型的症状ですが、中には胸痛、長く続く咳、のどの違和感、耳の痛みなどを起こす方もいます。食道と胃のつなぎ目の筋肉(下部食道括約筋)が緩むことが主要な原因の一つで、食道裂肛ヘルニア、食べ過ぎ、高脂肪食、飲酒などの生活習慣、肥満、姿勢の悪さ(前かがみ)などが挙げられます。ほかにも、胃酸が過剰に多く分泌されることや、糖尿病などで食道の蠕動運動が低下することでも発症します。

ヘリコバクター・
ピロリ感染症

ヘリコバクター・ピロリ菌は、強酸性の胃粘膜に感染し生息する細菌です。口からの経口感染が主で、乳幼児期の生活・衛生環境が原因といわれています。一度感染すると、除菌薬を飲んで治療しない限り胃の中に住み続けます。胃の粘膜を持続的に傷つけることで、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となりますし、胃癌の一番の危険因子といわれています。

詳しくはこちら

萎縮性胃炎

ピロリ菌感染によって引き起こされる慢性胃炎のことです。ピロリ菌は胃内で病原となる蛋白を産生・分泌することで長期間にわたり持続的な炎症を引き起こします。それにより胃粘膜上皮が薄くなり、萎縮してしまいます。萎縮性胃炎の範囲が大きくなるほど、胃がんのリスクが高まるといわれています。ピロリ菌の除菌治療を受ければ胃がんの発症リスクも軽減できますが、一度でも感染したことがある方は全くの未感染の方よりも、がんの発症リスクが残ってしまうため、定期的に1年に1回は胃カメラ検査を受けることを強くお勧めします。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

正常な状態では、胃酸や消化酵素(攻撃因子)から粘膜を保護するために様々な防御因子が働いています。胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、防御因子と攻撃因子のバランスが崩れて攻撃側に傾くことで発生するといわれています。このバランスを崩す2大要因が、ヘリコバクター・ピロリ菌と薬剤(特に非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)です。
胃粘膜上層だけが削れるものを「びらん」と呼びますが、この傷が徐々に深くなることで「潰瘍」に進行します。みぞおちの痛みが典型的ですが、他に背部痛、吐き気、胸やけ、食欲不振などを繰り返し、進行すれば吐血や下血(黒い便)、血圧低下(ショック)につながる注意が必要な病気です。

詳しくはこちら

機能性ディスペプシア

数カ月以上前から、食後のもたれ感、みぞおちの痛みや灼熱感を訴えるものの、内視鏡検査や血液検査などで、原因となる異常を認めない場合、機能性ディスペプシアと診断します。
脳と消化管には、内分泌(ホルモン)系や自律神経系を介してお互いに影響を与え合うシステムが存在します。機能性ディスペプシアは、これらシステムに何らかの影響が加わることで、様々な症状を引き起こしていると考えられています。
機能性ディスペプシアはストレスなどの要因が強いと言われており、当院と原クリニック本院の原総院長外来にて診療を行っています。

便秘症

排便習慣は人によってまったく異なります。そのためどのような状態が便秘であるかを一言で定義するのは難しいですが、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」という日本内科学会の定義が便秘の状態を簡潔に表しています。
つまりたとえ排便が1日おきや2日おきであっても、本人が便通に関する不快感を覚えていない場合は便秘といえず、毎日排便がある人でも排便に関して不快感がある人は便秘と定義されます。
便秘は年齢・性別・既往歴(特に開腹手術歴や放射線治療歴)なども大きな差があります。20~60代では女性に多く、加齢によって便秘人口は増加する傾向があり、80代に至っては、男女ともに10人に1人以上の方が便秘に悩んでいるという報告があります。
ただし、繰り返す便秘・長期間続く便秘に、腹痛や体重減少、食欲低下や嘔吐、血便などを伴う場合は、大腸がんの可能性も考えなければいけません。

詳しくはこちら

感染性腸炎

細菌やウイルス、寄生虫などの腸管感染によって発症する疾患です。よくみられる症状は下痢や腹痛ですが、血便や下血、発熱、嘔吐、悪心、食欲不振などを伴うケースもあります。細菌性の腸炎の原因としては、サルモネラやカンピロバクター、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌(O-157)などで、ウイルス性はノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどが挙げられます。
梅雨の時期など湿度も気温も高くなる夏場は細菌によるものが多く、冬場になるとノロウイルスなどが原因のウイルス性がよく起こります。

過敏性腸症候群

腹痛や身体の不調だけでなく、下痢や便秘などが数ヶ月以上続いており、かつ検査を行っても異常が発見されない場合は、過敏性腸症候群が疑われます。20~40歳代の女性に多いといわれています。脳と消化管は内分泌(ホルモン)系と自律神経系を介して互いに影響しあうシステムがあり、過敏性腸症候群は、機能性ディスペプシアと同様、このシステムの機能障害と考えられています。原因としては食事内容や生活リズムに加え腸内細菌の乱れ、さらにストレスなどの心理的要因が関与しているのではないかと言われています。辛い症状が続く場合は、機能性ディスペプシアと同様、当院と原クリニック本院の原総院長外来にて診療を行っています。

クローン病

全身のあらゆる消化管に、浮腫や潰瘍が生じて症状を引き起こす疾患です。遺伝が関与しているのではないかと考えられていますが、ハッキリとした原因は未だに分かっていません。腹痛と下痢がよくみられますが、発熱や血便、栄養障害、肛門病変(痔ろうなど)を伴うこともあります。
指定難病の一つとされていますが、適切な治療で症状をコントロールしていけば、健康な方と変わらない生活を送ることができます。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に、びらんや潰瘍ができる疾患です。指定難病の一つで、遺伝的要因、食事や化学物質、免疫的要因、腸内細菌の乱れ、ストレスなどが関与すると言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。潰瘍性大腸炎の患者さんは年々増加傾向にあります。難病指定されていますが、多くの方は適切な治療を続けて症状をコントロールすることで、健康な方とほとんど同じ生活を送ることができます。しかしながら、一部の方は病勢コントロールに難渋し、入院を繰り返したり、分子標的薬という特殊な薬を使ったりする場合もあります。
主な症状としては、下痢や血便、腹痛、しぶり腹(便意があるのに便が出ない、出ても少ししか出ない状態)が挙げられます。重症化すると、発熱や貧血、体重減少などを伴うこともあります。
特に、20-30代など年齢の若い方で、下痢・血便・腹痛が続いている場合は、潰瘍性大腸炎の可能性があります。思い切って相談にいらしてください。

詳しくはこちら

肝機能障害

何らかの原因で肝臓の細胞(肝細胞・胆管上皮細胞)に炎症が起き、これらが破壊されてしまう病態です。健康診断で指摘される肝機能障害の原因としては、脂肪肝由来の肝炎(非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD))、ウイルス性肝炎(B型・C型肝炎が多い)やアルコール性肝障害、薬物性肝障害、自己免疫性肝障害(自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎)などが挙げられます。まれではありますが、ヘモクロマトーシス(鉄の代謝異常)やWilson病(銅の代謝異常)、遺伝的要因による肝障害に加え、肝臓・胆嚢・膵臓の炎症や悪性腫瘍も考えられます。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれますが、多くの方が無症状であるため自分の体の異常に気付かずに長期間経過してしまうことも少なくありません。
肝機能異常を指摘された場合は、一度はきちんとした検査を受けておくことが肝心です。

肝硬変

肝障害が一過性にとどまらず6カ月以上続いた状態を慢性肝炎といいます。
肝臓は傷害されると、高い再生能力により自己修復を繰り返し行いますが、その過程で線維組織が増えていきます。この線維組織が増えていくということを「線維化」といいます。肝臓を細くゆるい輪ゴムのようなもので巻いていくと考えるとイメージが付きやすいかもしれません。慢性肝炎の状態が続き、線維組織が増え肝臓がカチカチに硬くなってしまうことを肝硬変と呼びます。つるつる・プルプルのレバーが軽石のように固くなることを想像してください。
採血検査をして、肝機能がこれ以上で肝硬変、これ以下で慢性肝炎というような基準はありません。基本は、肝臓を生検して顕微鏡で組織を観察することで肝硬変を診断するのですが、体への侵襲が高く簡単にはできません。通常は腹部超音波検査やCT・MRI検査などで肝臓の形態をみて、「肝硬変と呼んでいいほど肝臓が硬くなっている」状態と確認されたときに、肝硬変と診断することが多いです。
近年では、肝硬変の線維化の程度(どのくらい硬いのか)をできるかぎり正確に把握しようと、様々な計算方法や測定デバイスが登場しています。採血ではFib-4 indexなどの線維化予測計算法、超音波やMRIでのエラストグラフィーが挙げられます。
特にFib-4 Indexは健康診断で得られる一般的な数値(年齢・AST・ALT・血小板数)を用いるだけで計算できます。インターネット上に計算サイトも複数ありますので、ご自身の肝臓の「硬さ」を知りたいなと思ったら、健康診断の数値を入力してみてください。

肝硬変にはさまざまな命に関わる合併症が出現します。黄疸、出血傾向、脳症、腹水、食道静脈瘤、肝細胞癌の合併などです。
絶対に肝臓を肝硬変の状態にしてはいけません。肝機能障害といわれた時点で、是非ご相談ください。

胆石(胆のう結石症)

一般的に「胆石」とは、胆のう内にできた結石のことを指します。胆石は存在するだけならばほぼ自覚症状がないといわれていますが、この胆石が、食後の胆嚢収縮により動いて胆嚢管という狭い部分にはまり込むと、胆汁が出ていけないことで胆嚢内圧が上昇し、右の季肋部が激しく痛むようになります。これを胆石発作といいます。右肩や背中・腰が痛むこともあります。胆石は検診の腹部エコーなどをきっかけに発見されるケースが多いのですが、症状がない場合は経過観察を行うこともあります。

急性膵炎

膵液内の消化酵素によって、自身の膵臓を消化してしまう疾患です。原因で最も多いのは、お酒の飲みすぎと胆石です。胆石が膵管(すいかん)の出口を塞ぐことによって、膵臓に炎症が起こって急性膵炎を引き起こします。発症すると上腹部や背中に激痛が起こったり、嘔吐や黄疸、発熱を伴ったりします。他臓器にまで炎症が広がることも多々あるため、早期の段階から入院治療が必須になります。

食道がん

発症しても早期のうちは自覚症状が乏しいのですが、進行すると「食べ物を飲み込んだ時に胸がしみる、つかえる、胸が痛む」といった症状が起こります。主な危険因子は、飲酒や喫煙です。早期発見できれば内視鏡治療など、身体への負担が比較的少ない治療法で治ります。飲酒や喫煙を頻繁にする方やバレット食道がある方は、定期的に胃カメラ検査を受けるようにしましょう。

胃がん

日本は欧米と比べて、患者数が多い疾患です。これはピロリ菌の感染率が高いことに起因していますが、他にも食塩の過剰摂取や喫煙が主な胃癌の原因となります。

胃がんの多くは胃炎・萎縮を起こしている胃粘膜から発生するとされており、発症原因はピロリ菌の感染が多いとされています。喫煙や塩分の摂りすぎ、栄養バランスの偏った食習慣なども原因になり得ます。
早期の胃がんや特殊な胃がんを見つけ出すには、胃カメラ検査で丁寧に調べる必要があります。現代は内視鏡治療などの技術が進んでいるため、昔よりもがんの早期発見・治療が可能になりました。定期的に胃カメラ検査を受けて、早期発見に繋げていきましょう。

大腸がん

平均寿命の高齢化や食生活の欧米化などによって、大腸がんによる死亡者数は近年増えつつあります。大腸がんは発症しても自覚症状が目立たないため、知らず知らずのうちに進行させてしまう方も少なくありません。症状が現れてから診断された場合は、身体への負担の少ない治療(内視鏡治療)で治癒するのが難しくなります。
大腸ポリープ切除術を行えば、大腸がんによる死亡リスクが軽減できるとも言われています。下痢や便秘などの排便異常や、血便がある方、便潜血検査で異常を指摘された方は、大腸カメラ検査を受けましょう。

膵臓がん

膵臓がんは発症しても特徴的な症状が現れないため、早期発見が難しいとされています。発症したばかりの段階ですと、腹部の違和感や食欲不振、体重減少といった症状がよく現れる程度です。しかし進行すると、胃の不快感、腹痛、腰や背中の痛み、黄疸などが起こります。
膵臓がんの発症原因は、残念ながら未だにハッキリと判明していません。しかし、喫煙や膵嚢胞、糖尿病、慢性膵炎、膵臓がんの家族歴などが危険因子ではないかと考えられています。こういった危険因子をお持ちの方は、定期的に血液検査や腹部CT検査などを受けて早期発見に努めることをお勧めします。