超音波検査

超音波検査とは

調べたい部位の皮膚にゼリーを塗り、プローブ(超音波探触子)をその部分にあてて超音波をあてていきます。プローブから発せられた音波には「臓器に当たって跳ね返ってくる波」と「跳ね返らずにすりぬける波」があり、その差を機械で計算してモニターに映し出すことで、身体の内部の状態を調べます。
超音波検査はX線検査と違い、被ばくリスクの心配がないため、胎児の検査でも活用される安全な検査で、患者さんの痛みや苦痛もほぼありません。検査時に使われる医療用のゼリーも体に害のないもので、安心して受けていただけます。
検査時間はおよそ20~30分と短時間です。X線やCTスキャンでは確認できない臓器や病変への血流や動きがリアルタイムで観察できるため、内蔵の健康状態を把握するのに非常に役立ちます。

以下のような症状がある方は
超音波検査を受けましょう

腹部エコー

  • 腹痛や背部痛がある
  • 腹部の張りや膨満感がある
  • 便秘や下痢に悩んでいる
  • ダイエットしていないのに体重が減っている
  • 疲れやすくなった

心臓エコー

  • 胸が苦しい・痛い
  • 息切れすることが多い
  • 動悸がする
  • 手足がむくんでいる

頸動脈エコー

  • 頭がボーっとする
  • めまいが多い

下肢動脈エコー

  • 足が冷たかったり、痺れる
  • 20~30分間歩くとふくらはぎが痛くなる

下肢静脈エコー

  • 足がむくむ
  • 足の静脈がぼこぼこ瘤になっている

甲状腺エコー

  • 首の前のところが腫れている

上記の症状や不調を「しばらくすれば治るだろう」「これくらい平気」と思って放置するのは禁物です。これらの症状は、がん疾患などのような、命を落とす恐れがある疾患のサインとして起こっている可能性も考えられます。まずは当院で検査を受け、ご自身の健康状態をチェックしましょう。

当院の超音波検査の特徴

プライバシーに配慮した
検査室

プライバシーに配慮した個室の検査室で検査を行うため、安心して検査が受けられます。

当日検査対応可能

当院では、医師が迅速な検査が必要だと診断した際は、できる限り当日にエコー検査を受けられるよう手配します。健康診断にて「要精査」と言われた方で、当日のエコー検査を希望される方は、事前にお電話ください。
当日検査の可否に関しては、予約数や診察内容などによって変わります。予めご了承ください。
また、事前に食事をとられてしまった場合は、正確な腹部エコー検査ができかねるため、当日の検査をお断りする場合があります。ご了承ください。

当院での超音波検査

当院では腹部エコー検査・心臓エコー検査・頸動脈エコー検査を実施しています。気兼ねなくご相談ください。

腹部超音波検査(腹部エコー)

腹部超音波検査(腹部エコー)で分かる疾患

肝臓

脂肪肝、肝炎、肝硬変に加え、肝臓がんをはじめとする肝腫瘤など

胆のう

結石、胆のうポリープ、胆のう炎、胆のうがんなど

膵臓

膵炎や膵のう胞、膵臓がんなど

腎臓

腎のう胞、腎結石や腎臓がんなど

脾臓

脾腫(脾臓が通常より大きくなっていること)、脾臓の腫瘍など

腹部大動脈

大動脈の動脈硬化の程度の評価、動脈瘤の有無

小腸・大腸・虫垂などの
消化管

消化管の腫瘍や拡張、閉塞、壁の浮腫、消化液の貯留、炎症などが隠れていないかが分かります。虫垂炎の診断にも使われます。

腹部超音波検査(腹部エコー)を実施する目的

腹部エコーでは、肝臓や胆のう、膵臓、脾臓、小腸、大腸などの消化器系臓器や腎臓、腹部大動脈、膀胱、さらに子宮・卵巣などといった骨盤内臓器の異常を、患者さんの負担を最小限に実施できるというメリットがあります。CTでは病変の存在は分かっても、どのようなものかはっきりと診断できない場合もあります。狙った部位に直接器具をあてて観察・評価する腹部エコー検査は、CT検査や採血結果と組み合わせることで、正確な診断につなげる重要なツールです。
腹部エコーは、食事の影響を強く受ける検査です。胃内の食べ物で超音波が反射されたり、食事の影響で胆嚢が収縮してしまい内部の評価ができなかったり、小腸・大腸の動きが活発になることで、詳細な観察が難しくなったりします。
検査前の6時間は食事を抜いていただく必要があります。腹部エコー検査を受ける際は、食事については、十分にご注意いただきますようお願いします。

心臓超音波検査(心エコー)

心臓超音波検査(心エコー)で分かる疾患

心不全

何らかの原因で心臓の拍動する力が衰えたり、心臓の機能が落ちたりすることで全身に血液が送りにくくなる状態です。心エコーでは、心臓壁運動や心室の収縮力・拡張力、血流のスピードなど細かく測定することで、「心臓の元気さ」をチェックします。

弁膜症

心臓には4つの部屋があります。弁膜症とは、その出入り口に付いている逆流を防ぐための「弁」が、何らかの理由でダメージを負ってしまうことで不具合が起きている状態のことです。弁が開きにくくなる(狭窄症)または送り出した血液が弁の隙間を通って再度心臓内に戻ってくる(逆流症)の2つに分類され、それぞれが心臓の負荷に直結します。心エコー検査では、弁膜症の重症度の評価も同時に可能です。

虚血性心疾患

心筋細胞を栄養する血管が詰まることで、心筋細胞に十分な酸素や栄養が届かず、細胞障害が起こる疾患です。心エコーでは、心臓の壁運動を直接観察することが可能で、障害部位の評価と心機能の評価を同時に行えます。

心臓超音波検査(心エコー)を受けるタイミング

心エコー検査では、「心臓の弁の状態」や「心臓の壁の状態・動き」など、心臓のあらゆる働きをチェックすることが可能です。心臓の機能が心配な方はもちろん、以前心筋梗塞や狭心症を患ったことがある、心房細動を持っている方なども、定期的に心エコーを受けていただきたいと思います。さらに、生活習慣病(高血圧症・糖尿病・脂質異常症)を持っている方は、心臓や血管への負荷が大きくなっている可能性がありますので、ぜひ一度心エコーを受けるようにしましょう。
特に生活習慣病などのリスクが高まる40歳を超えている方は、心エコーと一緒に、腹部エコーや頸動脈エコーなども受けることをお勧めします。

頸動脈超音波検査
(頸動脈エコー)

頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)で分かる疾患

動脈硬化の程度

頸動脈は、心臓から脳への血液の通り道で、ドクドクと直接触れて拍動を確かめられる数少ない血管の一つです。
拍動を触れられることからも、ここにエコーを当てれば、外から動脈の詳細を把握することができます。頸動脈は動脈硬化が出やすい部位であり、頸動脈に動脈硬化がある方は、ほかの心血管系の動脈硬化も考えていく必要があります。
動脈硬化が進行して、頸動脈が狭窄する(狭くなる)と、脳への血流低下に加え、動脈が詰まってしまうこと(梗塞)、血栓が形成されて飛んでいく(塞栓)ことで脳梗塞の原因にもなります。もし頸部頸動脈で狭窄が見つかったときには、その重症度を評価し、早期に治療を検討する必要があるため、定期的な頸動脈エコーは重要です。

甲状腺疾患のスクリーニング検査

甲状腺に、腫瘤やのう胞という袋が指摘されるケースが多くありますが、その多くは経過観察しても問題ないものです。しかし、一部には悪性腫瘤がみられます。当院では頸動脈エコーを行う際、甲状腺に腫瘤やのう胞がないかのスクリーニング検査も実施しており、疑わしい病変の早期発見に寄与します。

頸動脈超音波検査(頸動脈エコー)を実施する目的

頸動脈は、頭に血液を送る動脈の1つです(総頸動脈)。途中から脳へ進んでいくもの(内頸動脈)と、顔の表面へ進む(外頚動脈)ものに分かれています。この分岐点(頚動脈洞)は、全身の動脈の中でも特に、動脈硬化の発症率が高いところです。頸動脈エコーでは、総頸動脈から頚動脈洞・内頸動脈をチェックすることで、身体の動脈硬化の進行度合いが分かるため、脳梗塞のリスクも調べられます。
中高年の方や生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)を発症している方、肥満や内蔵脂肪型肥満などを抱えている生活習慣病予備軍の方は特に、動脈硬化の発症リスクが高いです。生活習慣病のリスクが高まる40歳を超えている方は一度、頸動脈エコーを受けるようにしましょう。

下肢動脈超音波検査
(下肢動脈エコー)

下肢動脈超音波検査(下肢動脈エコー)で分かる疾患

閉塞性動脈硬化症の診断

下肢動脈は、足への血液を送る動脈です。股の付け根、そけい(鼠径)部にドクドクと拍動している血管です。
股の付け根から足の先までの動脈を連続的に診ていきます。側副路(バイパス)の有無も観察もできます。

下肢動脈超音波検査(下肢動脈エコー)を実施する目的

足に血液を送る動脈は下肢動脈1本だけです。動脈硬化が進行して、下肢動脈が狭窄したり(狭くなる)、動脈が詰まってしまう(梗塞)と、足の血行が悪くなり、足が冷たくなったり、痛くなります。更に進行すれば、壊死を起こしてしまいます。重症になってきた場合は、カテーテル治療や人工血管による血行再建が必要になります。閉塞性動脈硬化症は糖尿病や生活習慣病のある人に起こりやすい疾患です。このような疾患を持っている人は定期的に検査をお勧めします。

下肢静脈超音波検査
(下肢静脈エコー)

下肢静脈超音波検査(下肢静脈エコー)で分かる疾患

足の静脈の血栓や不全弁の観察

ふくらはぎの静脈がこぶのようになる病気を静脈瘤と言います。足の静脈の弁の不具合で起きます。エコーで静脈の流れを見ます。また、足をあまり動かさない人には、足の静脈に血栓ができることがあります。血栓が流れ出して、心臓を通り肺の血管に詰まると肺血栓症という命にかかわる病気になります。飛行機のエコノミークラス症候群がこれにあたります。

下肢静脈超音波検査(下肢静脈エコー)を実施する目的

動脈が全身に血液を送り出した血液は静脈を通って心臓に戻ってきます。下肢の血液が立っていても下半身に貯まらず、心臓に戻ってくるのは静脈に弁があって、逆流を防いでいるからです。静脈の弁に不具合があると血液が逆流し、静脈が瘤のように膨らみます。これが静脈瘤です。下肢静脈瘤は足が重たかったり、重症になると皮膚の色素沈着・潰瘍形成などが起きて来ます。治療は、軽いものは弾性ストッキング、重症になった場合は、注射による硬化療法、血管内レーザー治療、手術などの治療が必要です。
下肢の静脈の血栓は、足のむくみの原因になったり、肺動脈、脳などの梗塞の原因となり、命に関わるものです。足がむくんでいる場合には、下肢静脈超音波検査を受けましょう。

甲状腺超音波検査
(甲状腺エコー)

甲状腺超音波検査(甲状腺エコー)で分かる疾患

甲状腺がんの発見

甲状腺は代謝を司るホルモンを作る臓器です。のど仏のところにあり蝶の形をしています。ホルモンの異常や腫瘍、のう胞の非常に多く見つかる臓器です。甲状腺がんはそれほど珍しくないがんです。毎年、2万人弱の人が発病し、全体で1割くらいの人が亡くなります。甲状腺が大きかったり、頸動脈エコーの際に見つかった場合は、きちんと甲状腺超音波検査を受けてください。

甲状腺超音波検査(甲状腺エコー)を実施する目的

甲状腺に、腫瘤やのう胞という袋が指摘されるケースが多くありますが、その多くは経過観察しても問題ないものです。しかし、一部には悪性腫瘤がみられます。腫瘍、のう胞の大きさや形でおおよその診断がつきます。食事の制限等がなく仰向けに寝て検査を受けるだけなので負担のない検査です。

検査の流れ

ご予約

「なんだか体調が悪い」「健康診断で要精密検査と指摘された」などで超音波検査を受けたい方は、お電話から事前予約を取っていただけますと、よりスムーズに検査へご案内できます。診察時に予約を確保することもできます。当日の予約・診察状況、患者様の食事状況などによっては、当日に検査を受けていただけることもあります。
予約の有無に関係なく、診察で「速やかに検査が必要だ」と医師から判断された際は、その場で受けていただくこともありますので、予めご了承ください。

1検査当日

午前に受けられる場合

腹部エコーを受けられる場合は、朝食を抜いてお越しください。ジュース・牛乳なども飲まないでください。水やお茶などの水分は、いつも通り飲んでも問題ありません。

午後に受けられる場合

腹部エコーの場合は午前9時までに、いつもの朝食の量の半分を取ってください。その後は一切食事せずにお越しください。
水・お茶などの水分は、いつも通り飲んでも問題ありません。
※心エコーや頸動脈エコーを受けられる場合、食事制限は不要です。

2ご来院

予約時間よりも少し余裕を持ってご到着いただき、受付へお越しください。当日の服装は検査部分をすぐに出せるよう、ワンピースなどを避けていただけますと幸いです。
※なお、診察の状況次第によっては待機していただくこともあります。予めご了承ください。

3検査前

腹部エコーを受ける場合は、できるだけ事前にトイレへ行かず、尿を溜めておきましょう。どうしても我慢が難しい場合は、スタッフへお声がけください。

4検査実施

検査はおよそ20~30分で終了します。

  1. 診察台に横になり、指示された方向を向いてください。向きは腹部や心臓、頸動脈によって変わります。
  2. 検査を受ける部分を露出するよう、服を上げていただきます。
  3. 検査するところにジェル塗布します。
  4. プローブを検査部分にあてて、検査します。スムーズに観察するため、お腹を抑えたり身体の向きを変えていただくこともあります。

5検査結果の説明

検査が終わりましたら、視察室にてモニター映像をご確認いただきながら、検査結果について説明します。異常が発見された場合は、今後の治療方針について説明し、ご納得いただいてから決定します。容態によっては、CTなどのほかの検査を追加することもあります。

6会計

診察後は、受付にて費用をお支払いいただきます。薬が出ている場合は、処方箋もお渡しします。

検査費用

  3割負担の方 2割負担の方 1割負担の方
腹部エコー 1,590円 1,060円 530円
心エコー 2,640円 1,760円 880円
頸動脈・下肢エコー 1,500円 1,000円 500円

別途診察代金が追加されます。
薬剤などを使う場合、別途費用が追加される可能性があります。

よくある質問

超音波が身体にダメージを与えることはありますか?

ダメージはありません。超音波とは、私たちの可聴域を超えた高い音です。空気中では広がりにくいですが、液体や固体の中ではよく広がるという特徴があります。骨や結石などの物質に当たると跳ね返る性質をしています。その性質を活用して、跳ね返ってきた超音波を画像として映し出すことで、身体の内部の状態をチェックしていきます。検査で使われる超音波は1MHz~100MHzの周波数で、身体に害を与えません。医療用の超音波検査は、赤ちゃんの検査にも使えるほど安全性が高く、かつ身体への負担も極めて少ないです。

腹部エコーを受けたいのですが、事前に食事制限をしなければいけませんか?

腹部エコーでは、肝臓や胆のう、膵臓、脾臓といった消化器をチェックしていきます。食物を摂ると胃に内容物が溜まるため、膵臓などの観察が難しくなります。消化時に胆汁が分泌されるため、胆のうが収縮してしまい、結石やポリープの有無が確認しにくくなります。それゆえに腹部エコーでは、空腹状態で受けていただくよう案内しています。

腹部エコー検査で、トイレへ行ってはいけない理由は何ですか?

子宮や前立腺、膀胱などの状態を調べる場合は、尿が溜まって膀胱が膨らんでいる状態の方が、よりスムーズにチェックしやすくなります。検査の2時間前ぐらいからトイレを我慢していただいています。 ※ただし、どうしても我慢が難しい場合は、スタッフへお声がけください。

検査時に塗られるゼリーは何でできていますか?

ゼリーの成分は水分やグリセリンなどです。医療用で添加物は含まれていませんので、お肌が弱い方でも安心して使えます。服に付いてしまっても問題ありません。ゼリーを塗るとプローブから送られた超音波が身体の中へきちんと届くため、ハッキリとした画像を映し出すことが可能です。このゼリーを塗らずに検査を行うと、超音波のほとんどが皮膚で跳ね返ってしまうため、体内まで行き届かなくなり、観察ができません。